深夜特急
11月ということで、今年もあとわずか。しかし今年は黄金週間は家の片付け、夏休みは引越し後の片付けにそれぞれ明け暮れたため、ほとんど東京を離れていない。おそらく3月の息子とのブルートレインの旅だけだろう。I'm so hungry for a trip. 厳密に言うと、I'm so hugry for something unusual.
というわけで、家の本棚にあった沢木耕太郎の深夜特急文庫版を読み始めた。6冊のうち3冊まで読了。
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/30
- メディア: 文庫
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この本は16年前のちょうど今ごろ(内定式の翌日出発)、2ヶ月ほどのNY、欧州一人旅の時に持参して読んでいたものだが、奥付を調べてみると文庫版が出ているのは平成6年、つまり13年前なのだ。とすると自分が持っていったのは単行本かな。たしかに6冊を全部持っていくのは重いから、2冊ほど選んで持っていった気がする。NYで身ぐるみはがれて、その単行本も紛失したので、帰国後に文庫版が出たときに買ったのだな(我が家にあるのは平成9年のもので、これは実は結婚後。当時何があったかは不明)と記憶はきわめてあいまい。そして、自分の記憶があいまいなのを本文を読みまた思い知る。
私はこの本の澳門のドッグレースのことが鮮明に記憶に残っていたつもりになっていたのだが、澳門ではカジノの話しか出てこない。ではドッグレースの記憶はどこのものなのだ。まったく持ってなぞである。
沢木自身が好きな都市に挙げる香港は旅の冒頭ということもあり、その文章は異常なまでの熱気を放つ。自分がフランスに行っていた時に、香港からの留学生が結構多かったのは、中国に返還された後に、いつでも海外に飛び出していけるための準備をする学生が多かったからだが、その返還からもすでに10年がたつ。きっとずいぶん変わったのだろう。何で私はこの文章で書かれた時代の香港に行ったことがないのだろうと残念に思う。
けれど、まだ自分が何とか使い物になると思ったのは、香港に限らず、沢木の文を読み、あの時の自分の旅を懐かしむのみならず、見ず知らずの土地を訪れたいという気持ちだけはまだまだ枯渇してないことに気づいたからだ。
さあ、デリーから先だ。