ラジオ
今年も年を重ねる日がやってきた。
妻が「何か欲しいものは?」と聞くので、「ステレオで聴けるラジオ」と答えた。厳密に言うとCDプレイヤー付クロックラジオとなったのだが、私が欲しかったのはFMがステレオで聴けるラジオである。きょうびラジオだけの機能だと風呂で聞けるというのが売りのようだが、そうするとなぜだかステレオのタイプは皆無。ステレオで聴けるものだとCDプレイヤーがついているものが多い。とにかく一番小さいのということで探すとパナソニックものとなった。
実は新居に新しく作った書斎に購入しようと当初に考えていたのはiPodを差し込めるBoseのスピーカーだったのだが、車での通勤中にiPodで音楽を聴くようになると、家でもiPodを聞きたいとはそれほど思わないことに気づいた。私のiPodライブラリは2000曲ほどなので、パーティシャッフルにしておけばそんなにマンネリというわけでもないのに、なぜかiPodを自宅ではさほど聞きたくない。
自分なりに分析すると、それは知らない曲や新しい曲に出会いたいということらしい。ラジオの1つの機能は新しい曲、それも主としてPOPSを紹介するというものだから、やはりiPodではなくてラジオなのである。インターネットラジオだと局が多すぎて、POPSの度合いがやや低い。
私は好みの音楽というものがそれほどないので、結局はほとんどPOPSを聴いている。事実iPodのライブラリの8割は80年代のアメリカン・ポップスである。いわゆる80's。それに90年代以降のJ-POP。あとはJAZZやボサノバや地域音楽の名曲がちらほら。私には、「自分が××をしていたときに流れていたけっこう好きだった曲」というほうが「曲そのものがたまらなく好きな曲」よりもはるかに多いのだ。だから2007年なら2007年の自分を思い出す曲が欲しいのだ。
では、なぜそのラジオがある場所が自宅の個室であるべきなのだろうか。それはかつての心地よい環境への帰巣本能のようなものだと思う。結婚して初めてもった自宅の個室は、読書したり、ものを書いたり、考え事をしたり、何にもましてリラックスして妄想するところであるわけだが、それがこれまでの人生でうまくできていた環境といえば、高校や大学時代の親と同居していたときの個室なのだと思う。その時の環境に近づけるためにはやはり当時ほとんどの時間その部屋で流れていたラジオが必要なのだろう。