ファインダビリティとアンファインダビリティの境界

それが「ファインダビリティ」なのだと言われてしまえば、「ごめんなさい」と謝るしかない。だが、先日ある商業系カンファレンスを聞きに行って思い浮かんだことばが「ファインダビリティとアンファインダビリティの境界」というものだ。


そのカンファレンスはOnline Marketing Summitというもので、毎年サンディエゴで行われているものらしい。アメリカのソーシャルメディアの企業での利用事情を少し肌で感じようと思って出かけてきた。
http://www.onlinemarketingsummit.com/


検索キーワード4語(英語だけど)で検索結果に自分のブログがひっかかった時に潜在顧客とやり取りが最も続く、というデータを引きながら、デンバー在住のソーシャルメディアコンサルタントのおばさん(Heather Lutze)は、Googleでも検索結果上位に現れるようになってきたFBのプロフィールページやTweetYouTubeのビデオタイトルに自分を象徴する4語をふんだんに盛り込む。そして主観でなく、ツールを駆使して客観的にキーワードを調べて4語を選べと言う。


「こばへん」ばりに「これからは自社メディアが大事」と力説する、その筋ではかなりの有名人らしいソーシャルメディアコンサルタントのMichael Stelzner (https://twitter.com/#!/mike_stelzner)はこう言う。人気ブログになるためには、「他人を持ちあげろ」「時の人へのインタビューをしろ」「自分ではなく他人にフォーカスしろ」「読みやすいフォーマット(多すぎない字数とか、5つの××とか)を持て」と。


たしかにそうなんだろうとは思う。マーケティングのカンファレンスだし、法人ならもちろん個人でも商売をする人ならばそれは必要なことだと思う。それを否定しはしない。でもこれだけ検索される世の中だからこそ、個人の態度としては、むしろ1人よがりで、主観オンリーで、読みにくくても良いのではないかというのが僕の感想だ。


個人のブログなんてのは、ファインダビリティを意識する必要はほとんどない。読者のことはほとんど考えず、だから読みやすさも意識せず、自分の記録として書けば良いように思う。そのようにやっていれば、アンファインダビリティの力学が働いて、われらの検索ワールドでは両者の境界あたりに落ち着くコンテンツになっていくはずだ。


そして、そのファインダビリティとアンファインダビリティの境界に位置するきわどいコンテンツを見つけてくれて、感想までよせてくれた人とはちょっとした会話をかわせばよい。仮にやたらと共感されたり、有り難がられたら会ってみるのも良し。SNS全盛の時代だからこそ、そのきわどい情報を起点に生まれる出会いにこそ醍醐味があると思う。そんなインタレストグラフベースの粋なサービスが生まれたら良いのだが、どうしてもポピュラリティという要素は排除できないよな。


そんなところへと妄想を馳せ、昼飯でとなりに居合わせたおにいちゃんに「これからはUnfindabilityだな」と言ったら怪訝な顔をされたわけだけど。