My Style

このひと月

今の気持ちについて語ると、依然としてかなりショックを受けた状態である。地震にまつわる情報についてはできれば知りたくないし、ちょっと頭を使う本なども読む気がほとんどしない。ウェブ関連のニュースにも関心があまりなくなっている。情報に触れたくな…

父のこと、父とのこと(佐々木明/巨椋鴻之介)その4 最終回

前回私はかねがね「最後に1冊本を出したい」と父が言っていたのは知っていたが、それが前述のような本であることは、手術直前に初めて知った。また父が詰将棋作家として、実に偉大な存在であったことも初めて知った。すなわち詰将棋の作問で塚田賞なるものを…

父のこと、父とのこと(佐々木明/巨椋鴻之介)その3

前回さて、ここからは家族しか知らない2006年秋以降の話だ。 父はすい臓癌を患っていた。すい臓は「物言わぬ臓器」と言われ、その発見は早くはなかった。その兆候がはじめて見られたのは2006年9月。父からすると孫にあたる、私の息子の誕生日の会食時であっ…

父のこと、父とのこと(佐々木明/巨椋鴻之介)その2

前回その後、帰国して、構造主義なるものがそういう名前を持ち始めると、ちょっとだけ時の人となったようで、新聞や雑誌にその紹介記事やエッセー的なものを書いていた時期もあったようだ。でも、小学校、中学校、そして高校時代ごろまで、私から見ると父は…

父のこと、父とのこと(佐々木明/巨椋鴻之介)その1

10月7日に父が逝った。 この4年間は彼の死について家族で覚悟を固め続ける時間だった。そういう意味では準備はできていた。だから納棺以降はむしろ悲しみよりも清々しさに近い気持ちが私自身には去来した。ただし、結局間に合わなかった死に顔を見た時は、や…

3人の師匠から学んだ教育スタイル

昨年、博士号をとった。 博士号というのは、独立した研究者としてやっていける証明と言われている。つまりこれまでの師匠からは、少なくとも形式的には独立することを意味する。そこでお世話になった3人の師匠について振り返ることとしたい。実は、こんなエ…

沖縄行

先月のことになりますが、沖縄で休暇を取りました。新型インフルエンザの流行が話題になり、一瞬キャンセルも考えましたが、今年は年明けからまとまった休みがなく、自分の関心もほぼ一点に集中していたので、ともあれ非日常を求めて行ってきました。本島北…

デジタルネイティブと私

「何学者ですか?」と聞かれると答えに窮する。まあお茶を濁した感じで「経営学者」というしかない。だが、私は「情報の価値とその収益化」というのが長きにわたる研究テーマであって、そのなかでネットサービスの流行廃りやそこでのカルチャーも気になるし…

年度の変わり目

会社勤めをやめて失ったのは美食の回数で、得たものは季節感だが、別れと出会いの季節感は例年通り。昨年は自分の転職だったが、今年は子供の卒園と入学があるので、2年連続の当事者。 15日の子供卒園式、22日の大学卒業式、24日の元同僚送別会、26日のゼミ…

1年終わった感じ

本日最後の教授会があり、2008年度の入学者許可者数も確定し、1年間が終わった感じがする。気持ちよーくサバティカルに旅立った同僚が、ゼミ生を任せて行ってくれたせいで、初年度から卒論指導もして、めでたく6名が卒業となったが、これはまた来週の卒業式…

BMW120i

Stagea→BMW1シリーズ - 観察・実験ノートというエントリーを書いてから3年以上たち、中古の120iを購入。結局320iは2005年、2007年と車検を2回通して、距離も6万キロまで伸びたが、ついにこの11月初旬にエンジンへの燃料の吸い込みがいかれて故障。15年もた…

深夜特急

11月ということで、今年もあとわずか。しかし今年は黄金週間は家の片付け、夏休みは引越し後の片付けにそれぞれ明け暮れたため、ほとんど東京を離れていない。おそらく3月の息子とのブルートレインの旅だけだろう。I'm so hungry for a trip. 厳密に言うと、…

モネ大回顧展@国立新美術館

企画に5年かけたそうだ。ということで、一部の美術館からの貸与はなかったようだが、錚々たるラインナップ。 モネは私にとっては特別な画家ということもあり、一部屋目の「モンソー公園」で早くも「あー、パリに行きてー」となる。「アルジャントゥィユのセ…

渋く浅草で

高校時代の仲間連中に職場が変わった旨をメーリングリストで連絡したら、「久しぶりなので飲み会を」ということになった。久しぶりと言っても年に1,2度は会う仲間。昨年は夏にみんなで築地で寿司を食ったし、いきつけの店で年に5回は会う奴もいる。 宝塚…

異邦人たちのパリ

久々に絵を観にいく。http://www.asahi.com/pompidou/。 金曜日の夜間展示。しかし人が少ない。国立新美術館が知られていないからか、ポンピドゥーセンターの知名度の(相対的)低さからか。でもそれゆえ心地よい。 展示後のミュージアム・ショップにあった…

変化をうまく利用したい年

昨年は、11月10日頃から実にあっという間だった。これは身内に病人が出て大手術があったから。複数の医者から説明を聞き、本人と相談しながら判断を重ねて手術までが約1ヶ月。そこからは病人次第の部分がより多くなるので、頭を使うことは減ったけど、それで…

中田英寿の絶望

私が今回の日本代表について、もやもやしたまま持っていた感覚を表現したのが「ついに生まれなかった闘争心」というタイトルのこの文章。ナンバー657号の戸塚啓のものだ。 クロアチア戦の終盤が忘れられない。相手のシュートがワクを逸れると、川口能活は一…

リスクとはそういうものである

最近、役職柄(柄にもなく)会食なんてのが増えている。今週は、某大企業のボードメンバーを引退し、関連企業の社長に転じられた方とお会いしたのだが、そこでこのような話になった。彼は3年前にある大学の教授としてのオファーを受けたのだが、その給料が…

続・博士候補になるための審査

個人的なことばかり書いているが,学生の身なので許されるだろう. 当日は明示的な質問はなく,僕の調査設計に対するコメントを,副査の先生方からもらいました.そして僕はそれに対して実質的にはほとんど対応できなかったのです.言葉から受ける圧力を異常…

ゴッホとモネ

私はけっこう絵を見るのが好きだ。そして日本人に多いタイプなのだが、印象派の絵が好きだ。その中でも月並みだがゴッホとモネが好きだ。ちょうど今http://www.tokyo-np.co.jp/event/gogh/をやっているのだが、絶対に行かなくてはと思っている。実は学生にな…

花粉症

例年に比べて症状がひどい。来年のために備忘録。 3月に入ってからがひどい 鼻よりも目がつらい 目のかゆみと涙がとまらない。涙が目の脇に目ヤニと一緒にかたまって肌も痛い のどはさほどひどくない。ただ、咳がなくなることはない。 対策としては、予防効…

唐招提寺展と踊るサテュロス

美しいものが見たくなったので、上野まで行って来た。唐招提寺というのは小学校で写真を見て以来お気に入りの寺である。特徴的な鴟尾(しび:とびのお)と美しい曲線の屋根が気に入ったのだ。2年ほど前に奈良に行ったときに、寄ってみたのだが、まさに平成…

孤独と仲間

一人で作業をしていると、心配事が降りかかった瞬間、急激にクリエイティビティが下がる。今年は年明けから比較的順調に来ていて、将来のアウトプットに使えそうなアセットを1日に3000字ぐらいのペースで書いたり、調べものを後に利用できるような形にまで…

友人JM

フランス人の友人にJMがいる。1989年の留学時代に知り合い、今でも年に1度クリスマスカードが彼から届き、私が年賀状がわりに返事を書くというやり取りが続いている。私の年賀状書きは彼に書いて毎年終わる。今年も先ほど終わった。彼は私の電子メールアド…

言っていることと、やっていること

年賀状を僕の敬愛するY田さんに書いていて、彼のことばを思い出した。彼はもう60近い人だが、僕と会うと必ず「おい、最近、言っていることと、やっていることがブレてないだろうな」と言う。非常に怖い言葉だ。10年前にリサーチ対象企業で取締役をやって…

認知言語学を英語で学ぶ

今日は少し自分にねぎらいのことばを。博士候補になるために、「技法科目」というのがある。専門分野を深める上での必要スキルを習得するという発想なのだが、僕の専門は、ネットワークガバナンスというプログラムなので、専門があってないようなものだ。簡…

小さい組織と大きい組織

今日は最終出社日であった。雑務を片付けて気がつくと、昼がすぎ1時近くになっていた。さーて、どこに昼飯を食いに行くかと考えて、雑居ビルの5階にあるネパール料理やにカレー(ダル・バート)を食いに行った。食べて帰ろうとすると一度として話したこと…

笑の大学

三谷幸喜の「笑の大学」映画版を見る。何も知らなかった私は、笑うためにほぼ1年ぶりに劇場に足を運んだのだが、期せずして泣いてしまった。検閲官向坂(役所広司)と喜劇作家椿(稲垣吾郎)の関係が、今の指導教官と私の関係にちょっと似ていて感情移入し…

経営コンサルタントの分類学

ついに休職に入った。しかし忙しさに変わりはない。むしろプレッシャーは高まった。胃が痛い。 経営コンサルタントというのは、何年かたつと自分で手を動かす比率が減ってきて、プロジェクトのマネジメントが仕事の中心となる。さらに何年かたつと今度はセー…

求道者イチローとマルチ人間長谷川

この3週間ほど、イチローの記録達成を心待ちにしていた。単純なミーハーで騒いでいた部分もあったが、私の関心は、最下位のチームにありながら、なぜあれだけのモディベーションを保てるか、そしてなぜあれだけの重圧を背負い続けられるのか、ということだ…