広告テクノロジーの現在(ゲスト講義)

本年度もゲスト講師に登壇いただく季節となりました。


先頭打者は、NTTデータ なずき推進室 の高田真行さん。「ウェブ・マーケティング」に登場。ネット広告におけるターゲティングとその実用技術について話してもらいました。具体的には、検索連動広告(リスティング広告)、コンテンツマッチ広告、行動ターゲティング広告、そして後者2つで活用されている「なずき」という技術について。


学生は概ね「そーなんだー(驚)」という反応でしたが、提出してもらった感想を読むと、しっかり仕組みを知った上で広告とつきあっている学生も少ないながらいることがわかりました。


私の感想は3点。


まずは、行動ターゲティングコンテンツマッチを組み合わせたハイブリッドターゲティングについて。数値は伏せますが、単独のコンテンツマッチに比べてさらにCTRが上がるとのこと。しかし、ネット広告(というか狭告)はクリエイティブの領域が狭くなっているなー、という印象。さらに広告は販促に食われている流れもあるわけで、すっかり15年前とは、当たり前ではあるが、広告界の風景が様変わりしているな、という印象。


第2点は、前項とも関係しますが、NTTデータが基本的に工学的価値観によってビジネスをしている会社だなー、という点。もちろん今回は「ウェブ・マーケティング」という経営学的な授業だったので、淡々と事実が述べられたという事情はあります。なんですが、少々NTTデータという会社の事情を知る者としては、この広告テクノロジーの進展が何をもたらすかという点についてはあまり議論されていないのだろうな、と察した次第です(お願いしておいて失礼な物言いになりますが)。そんな中で、質疑の中から出た「JR西日本福知山線の事故時に『電車でGO!』の広告が出てしまい、業界で問題になった」とか、プライバシー捕捉についての高田さんの意見に端を発した学生との対話は貴重でありました。


最後は、クリエイティブ(リッチメディアも含めたボディコピー部分だと私は理解した)に対するコンテンツ解析によって、広告主が出稿した広告を、広告主が想像もしなかった媒体に出稿するという話。アドマーケットプレースなんてものができると、大量の媒体が売りに出され、それと広告(主)とのマッチングをソフトウェアでしないといけない(大量の媒体を売りさばかないといけないとも言える)という話の延長です。ただし最近考えていることと、広告主の想像力を情報技術で補完するという点がちょっと近かったので、琴線に触れたのでありました。