ウケるかもしれないAR(Augmented Reality:拡張現実)アプリケーション

先週末のゼミ飲み会でのこと。けっこう今年はネット好き、特にネットコミュニケーションサービス好きが多いようで、珍しく女性を交えて、恋バナではない、こんな話になった。まあネタなんだけど面白かった。


きっかけは技術開発力に定評のある某通信企業を受験中の女子Aの、「頭の中で考えていることをディスプレーに表示する技術があるということに驚いた」という発言。


「ブレイン・コンピュータインターフェースという奴ね」と合いの手を入れると、「えー、じゃー私の妄想が表示されちゃったりするわけ。それ超やばい」と女子B。彼女はたしかにいつでもゼミでボケ的な、場の空気をずらす質問をするので、この発言にはうなずける。


すかさず、同じ女子Bが「そんなのがあったら、私電車に乗れないよ」。「まー、それは制御できるんでないの。車中では非表示とか」と私。


「もし制御できなかったら、就活の面接も受けられない」と就活が頭の大部分を占めている女子A。


「そーだよね。『そんな質問して何が嬉しいの』とか『あなた面接官なのにチャック開いているよ』とか表示されたら落とされるよね。」女子Bが続ける。


「でも、電車の中であなたの妄想が表示されたら、それに突っ込んでくる人がいて面白いことになるんじゃないの」と私。


「つまりニコ動の車内版だ」とニコ動好き、ニコ生好きの男子C。「それ面白いかもー」と女子Bと女子D。「それマジ面白そっす」と男子Cと男子E。「えー、何々?」と他の話題で花を咲かせていた学生も興味を持つ。


「でも個人情報とかは表示されないんだよね」と真面目な女子Dが続く。「チップを体に埋め込んでいれば、個人情報もサーバー介さず表示可能でしょ」と私。


「でも個人情報を出したら、いじめられそうだよね。『突っ込まれ名人』として有名であれば芸になるかもしれないけど」と女子B。昨年、ニコ動の「歌ってみた」「演奏してみた」の人気コンテンツ分析をした彼女だが、どうやらゼミでのポジショニングもよく理解しているようだ。


そのあとの話の展開は忘れてしまったが、とにかく「思っていることがリアルタイムに表示され、それにツッコミをいれて、現実と表示コメントの差異、あるいは一致による盛り上がり(場合によっては炎上とも言う)を楽しむ」ということに対して、「おもしろー」と賛同する学生が多かったのが非常に印象的であった。


で、話はここにつながる。


先ほど見ていたのが、ねとすたシリアスのこの動画。第1回後編その7。


濱野智史さんが「日本ではARが場の空気を読むアプリとしてものすごい普及する可能性が高い」と(という類のことを)まさに言っていた。「これまでの人生で何回笑われたか」(濱野)とか「あだ名の履歴」(黒瀬洋平)を表示させるというのは、まさにゼミ飲み会での「個人情報」の一形態。盛り上げるための、あるいは炎上を促すメタ情報。


一応言っておくと、彼らはそのアプリの普及に対して「ヤバい(否定的な意味での)んでないの」と思っているんだが、学生にはそういう深い思考は(少なくとも現時点では)ない。


つまりは、濱野仮説のとおり、その潜在需要はあると思わせる事例がここにあったというお話。


余談だが、私は白田さんの感覚がよくわかるなぁ。同年代で同じ年に同じ大学を出ているからね。ちょっと私の方が不真面目で単なる観察者という感じだけど、しばしば絶望的な気持ちになるのは同じだね。