本屋(実店舗)をうろついての雑感
- ミシュラン東京が即日売切れになっていたことについて
確かに話題性はあるけれど、即日売り切れになるということから、われわれのランキング依存症を感じる。結局情報過多になると、目いっぱい情報が圧縮されたランキングが便利。しかも権威のあるミシュランが格付けするなら信頼性もあるというわけでとにかくお手軽である。今後、さまざまな情報誌などがこの格付けを素材に色々と情報編集することは必至で、3つ星レストランは予約が取れなくなるのだろう。
「これを知らないとダメ」とか、「競合はやっている」とか、煽り文句も陳腐なら、中味も陳腐。なんとなくこれぐらい知らないとやばいかなと思うビジネスパーソンに買わせて積んどかれる類の本ばかり。まあ、私も5年ほど前までは読んでいたけどさ。さらに驚くのは依然としてコンサルタントというのが知的な商売と言われているらしいということ。
- 人で売る本の氾濫(特に新書)
著名な人、旬の人を調達して対談、鼎談を編集部がおまとめという本が依然として多い。新書ビジネスはすでに投機的ビジネスになっているの感あり。極めつけは「佐藤可士和の作り方」という佐藤の妻が書いた本。節操ないですね。目次さえ見ませんでしたが、本人が書いていることはまずないでしょう。
- 処方箋を求める全世代の人びと
若い世代が生き方に悩むのはわかるけど(私は20代では中島義道を結構読んでいたけど)、全世代が悩んでいるような感じがした。そして求められる本は、本当にそうかはわからないけれど「こうするとよい」と断定調で処方箋が書いてある本だね。もはや本はヒントをもらうものではなくて、答えが書いてあるものになりさがっていないと売れないという感じ。ここにはミシュランが売り切れるのと通底するものがあるように思う。
家に読まれるのを待っている本がけっこうあることもあって、珍しく1冊たりともかわずに撤収。