SNSの足跡機能についてのアンケート結果

SNSの足跡機能、「監視されているようで嫌」が半数 - ITmedia NEWSという記事を見かけて読みました。見出しに興味を持ち、読んだのですが、このアンケートはあまり良くないな。


このAに近いか、Bに近いか方式のアンケートはAとBに書くことが回答者の誰にとっても、完全に相対するものでないといけない。そのような文言を考えることは至難の業だから、そもそもこの方式は原則的にはやってはいけない。具体的には、「足跡機能は自分の行動を監視されているようで嫌だ」という文言を見れば、自分が他人のページを見ているときのことを想像する人が多いはず。それに対して、「足跡機能は友人の行動や自分のページに来た人の動向が分かるので必要だ」というのは、自分が自分のページの足跡を見ていることを想像する人が多いはず。この2つのケースを天秤にかけるわけである。


それならば、「足跡機能は自分の行動を監視されているようで嫌だ」と「足跡機能は友人の行動や自分のページに来た人の動向が分かるので必要だ」と2つの考え方について、5件法で聞く方が良い。2つの考え方の数字を比較したり、同一人物の答え方のパターンを見た方が正確なことがわかる。


という注文はあるが、

46.8%が「自分の行動を監視されているようで嫌だ」という考えに近いと答えた。「友人の行動や自分のページに来た人の動向が分かるので必要」と考えるユーザーは18.7%で、残りの34.6%は「どちらともいえない」と答えた。

というデータが無意味かというとそうでもない。


たしかにアンケートに回答する時は「監視されているようで嫌だ」と思う。けれど、そのサービスを利用しなくなるほど嫌ではない。というのも、自分のページを訪れた人を知るのはかなり興味深いことだからだ。事実その人のページをユーザーは訪れ、事業者のPVは増えた(ている)わけだから、マクロで見ると行動面では「嫌」という気持ちとは裏腹となっているわけだ。これはアーキテクチャによるコントロールが価値観や理性といった人間によるコントロールを上回っている例、ないしはアーキテクチャが動物的なものと人間的なものを切り分けている例として取り上げることができるのではないか。