緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」に行く

緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」開催のお知らせ - MIAUに参加。理由は、この問題について自分は正確に理解しておらず、かなり不明な点があるとの意識があったから。詳細なレポートは以下のリンクに譲る。


不明点1:どうしてダウンローダーを特定するのだろうか?
小倉秀夫さんの説明によれば、「ダウンロード時のIPアドレスを確認する方法が技術的に存在しないため、違法ダウンローダーを取り締まるためには、違法ダウンロードしていそうなユーザーの家に行ってPC内のデータや操作ログを全部コピーする証拠保全手続きが必要になり、プライバシーが著しく害される」とのこと。なるほど。やはり「していそうな奴」を当たるわけね。

「法は家庭に入らず」という大原則があるそうだが、今回の「違法複製物からの複製は(私的録音録画の有効性を定めた)第30条の適用除外とする」ということになると、法が家庭に入ってくることになるというわけだ。


不明点2:ストリーミングとダウンロードをどう区別するのか?
斉藤賢爾さん曰く、「ダウンロードとストリーミングの違いは、情報の「複製先」の違いでしかなく、いくらでも組み替えられる」。これは、たとえばPDFを見るときに逐次再生のストリーミングとファイル全体を固定化するダウンロードはブラウザにアクロバットプラグインが入っているかで決まるということ。したがって、ダウンロード違法の法改正がなされ、どこぞのハッカーがすべてのダウンロードをストリーミングとして扱うソフトを作って広まったら、今度は「違法化派」はストリーミングもダメと言うだろうという話。

津田大介さんも「小委員会で日本映画製作者連盟の華頂尚隆委員は『YouTubeをなんとかしたい』と漏らしていた」という裏話を披露したのだが、まあ、そういうシナリオもありうると。


不明点3:文化庁国益や社会全体の厚生、あるいはクリエイターのことを本当に考えているのか?
君たちはいつまで通信と放送の区別やそれにまつわる問題(たとえば今回のダウンロード違法化)を大真面目に議論しているの?というのが疑問だったが、これについては池田信夫さんのhttp://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/4a2017ec7459e3e8545494c8c049bb30が参考になる。

情報通信法が法案化される段階になると、民放連と並んで文化庁抵抗勢力になるおそれが強い。」とあるが、仮にこの法案が通ると放送はこれから5年でかなり変わるような気がする。3年前にテレビ誌の表紙を飾るSMAP - 観察・実験ノートというエントリーを書いていたが、今年も変わらずSMAP。このタレントがいなくなったらテレビはつらいよね。彼らも40まで今の芸風を続けるのかもなぞだ。

さて、話がずれたが、こんな法案ができたらアマチュア・クリエーターの映像が国民の萎縮効果で流通しにくくなるということも大きな問題。


またシンポジウムで1つ出た話題に、「ダウンロード違法化」をわかりやすく普通の人に説明するキャッチコピーが必要というのがあった。

「違法アップロードされたものをダウンロードするのは違法でしょ」という思考停止を誘う文句に対等に戦える文句が必要ということだが、これについては「ニコ動やYoutubeでの動画鑑賞が違法化される」というので良いのではないか。もちろん現状ではストリーミングで見ているケースがほとんどだろうが、そもそも「Youtubeをなんとかしたい」という権利者がいて、上述のようなシナリオもあるのだからそれぐらいは言ってもよいのではないの。正確性に欠けるとしても、私が接している学生の年代にとってこのことばは響くと思うよ。