「面白い」ことを書いたら売れない時代

ウェブ進化論」とか「テレビCM崩壊」についての個人的な感想は、突き詰めると「面白くない」というものである。もちろんビジネス啓蒙書なので、それは致し方ないということも言える。また、自分の専門ともいえる分野なので、要求水準が高いのかも知れない。ものごとを知らない人たちに本質的議論を始めてもらうためのきっかけを作った、という点で評価されることもあるが、それにしても「面白くない」のは事実である。発見がほとんどない。刺激を受ける部分がほとんどないのだ。


実は、このことを考えて思い出したエントリーがある。Long Tailというものを別の見方で捉えてみる - 観察・実験ノートの後半で書いているように、例のLong Tailの曲線は、右側が頭で左側が尻尾なのかもしれない。明らかに、ネットを使って色々な情報収集をし考えている人と、そうでない人との間に、知識格差ができているのではないか、ということだ。もう少し言うと、思考能力の格差も出てきているのかもしれない。脳みそ使っている時間や、その時に扱う視点の数とかにすごい差が出てきているでしょ。それは、はじめの会社の同期入社の奴らとかと会うと感じることでもある。


というわけで、「面白い」ことを書いたら、10万部というようなマーケットでも確実に「外す」ようになってきているのではないだろうか。逆に言えば、自分で「つまらねー」ということを我慢しつつ新書で書いたら売れるかもしれないということだ。ちょっと傲慢で嫉妬も入っているかもしれないが、素直にそう思う。そして自分がこれをやるかということについては、生き様の問題のようにも思う。ま、それは6年ぐらいしたら、その時にその時の環境に合わせて考えようと思う。