中田英寿の絶望

私が今回の日本代表について、もやもやしたまま持っていた感覚を表現したのが「ついに生まれなかった闘争心」というタイトルのこの文章。ナンバー657号の戸塚啓のものだ。

クロアチア戦の終盤が忘れられない。相手のシュートがワクを逸れると、川口能活は一刻も早く試合を再開しようとした。このとき、彼は絶望的な気分を味わったに違いない。同じ気持ちを持った選手が、フィールドに中田英しかいなかったからだ。

そして、同じ号の海老沢泰久の「中田英寿の絶望」という文章。

どんなに走っても、どんなにボールを必死に追いかけても、サッカーは一人じゃできないんだよね。頭の中にあるサッカーは、どんどんシンプルになるし美しいのだけれど、ピッチで、サッカーがこんなに難しくなってしまったのは初めてだと思う。いいサッカーというのは、一人ではできないんだね

中田はクロアチア戦後にそう語ったという。なんと深い絶望に満ちた言葉だろう。

ぼくには彼の絶望がよく分かる。

私にも彼の絶望がよく分かる。