Googleの決算書

四半期決算をざっと見るのも5回目.
http://investor.google.com/releases/2005Q4.html


まずは売上

  • 12月31日締めの四半期における売上は19億1900万ドルで,前年同期の10億3000億ドルから86%の増加,前四半期の15億7800万ドルからは22%の増加.この4四半期での合計売上は61億3900万ドル.2005年は7000億円企業となりました.
  • また四半期毎の増収率は22%,10%,14%,22%と推移している.
  • 2006年に1兆円企業になることはほぼ確実.


次に営業利益

  • この3ヶ月で売上高19億1900万ドルに対して,営業利益が5億7000万ドルで,営業利益率29.7%.これは前期の33.5%,その前の期の35.2%から減少傾向.


そして純利益

  • 当四半期の純利益は3億7200万ドルで,前年同期の2億400万ドルから82%の増加.ただし前の四半期の3億8100万ドルに比べると微減.年間で14億6500万ドルで,15億ドルには届かず.
  • 61億ドルの売上に対して,15億ドルの純利益という高収益会社(純利益率23.9%).参考までにいうと,2005年3月期の電通Gの連結売上は1兆9100億円で,275億円の純利益(1.4%),博報堂DYGの連結売上は1兆900億円で,104億円の純利益(1.0%)


売上の内訳

  • 売上高の57%に相当する10億9800万ドルがGoogle-ownedサイトからのもの.前四半期から24%の伸び.四半期ごとの伸び率は24%,12%,20%,24%と来ている.
  • パートナーサイトの売上は,全体の42%に相当する7億9900万ドル.全四半期から18%の伸び.四半期ごとの伸び率は19%,8%,7%,18%.
  • このパートナーサイトの売上のうちパートナーに6億2900万ドル支払う.これは前四半期の5億3000万ドルから19%の伸び.売上の79%に相当.前四半期の79%,その前の78%から変わっていないとすると,AdSenseに関する基本的なルールは変わっていないと思われる.


海外比率

  • US以外の売上が38%で,前四半期から1%減少.


資産

  • 資産の部を見ると3月31日の38.65億ドル,6月30日の44.98億ドル,9月30日は94.51億ドル,12月31日は102.71億ドルへと約8億ドルの増加.増加がこの3ヶ月については減っているProperty and equipmentだけについて見ると,3月31日が4.75億ドル,6月30日が5.77億ドル,9月30日が8.03億ドル,12月31日が9.61億ドル.つまりこの四半期では180億円分の増加で,売上は400億円以上増加.


3ヶ月前に「AdSenseの売上伸び率はむしろもっと遅れて高くなるのだろう」と書いたが,一応そうなった.ただしこれが特殊要因による短期的なものなのか,中期的なトレンドによるものなのかは不明.いずれにせよ,AdSenseからの売上の伸び率が,Google-ownedサイトのそれを上回るのが次のこの会社の転機,でもそれが訪れるのかは不明.少なくともCTRについては検索連動型広告コンテンツマッチ広告ではかなり違う.


その次の転機はAdSenseからの売上絶対額がGoogle-ownedサイトのそれを上回ったときだろう.ここまで行けば,競合環境はあるものの,ほとんど永遠に売上が伸びる会社といってもよい会社になる.そして,そのときまでに他の収益源ができていればそれは戦慄すべき会社.かなり高い確率で時価総額は世界ナンバー1になっているだろう.という道筋に向かって,さしあたりAdSenseのリッチメディア化が検討されているようだが,どうなるのだろうか.


ちなみに,この決算発表後に株価は下落したようだ.昨年の12月半ばにGoogle株を持っている人に「いくらで売ったらよいの?」との難問を突きつけられたので,「とりあえず利益確定するなら480ドルぐらいじゃないですか」と勘で言ったのが当たった.僕は上記のようにコストの分析はほとんどしてない.ただ,矢継ぎ早に新しいサービスをローンチして,人も増えた.だから純利益がそろそろ頭打ちになるかなと考えた.さらに上場時に二人の創業者が言っていた「短期的な利益ではなく,長期的な利益を指向する」という発言の行動で見せるとすればぼちぼちかなと思ったからだ.ただし,それが1,2四半期ずれることはまったくありうるし,そもそもそんなパフォーマンスはないにこしたことないのであるから,ほとんどまぐれ当たりだ.で,彼は株を売ったのだろうか?