グリーが東証1部に指定替え

今年はCGM事業者に5年ぶりにインタビューを実施している。すでに19サイトが終了し、あと4,5サイトというところまで来ている。そのため、例年よりも現場感覚が強くなっている。そこに飛び込んで来たのがすでにCGMサイトとは言えなくなっているグリーの東証1部への指定替えのニュース。


「この5年間で最大の発明はバーチャルグッズ」という話題はいくつかのサイト経営者との間でも出ている。それについては賛否両論で、「折れる釣り竿はないでしょう」というものと「情報財にお金を払う習慣をつけてくれたので助かる」というものがあった。


さて、僕は2008年11月のマザーズ上場に際し、彼らのことをブログで書いたのだが、そこでは1部に行ける可能性の会社だと書いている。 それは当たり。では他にどんな予測をしていたかを振り返ると、売上規模については当たりとは言えないけど、大きくは外していない。

1人あたり売上も、会員数も上昇余地はあると思うけど、かけ算した数字が10倍にはならないでしょ。行って5倍ぐらいかな。会員数が3倍で1人あたり売上 が2倍弱とかそんなものではないの。

と書いているのだが、当時の四半期の売上が19.8億円だったので、行って四半期で100億円ということになる。


また細かく有料課金ビジネスと広告ビジネスに分けての予測も書いていたのだが、それによると「有料課金の方は5倍ぐらいになる可能性はあるだろうが、広告の方は3倍にはならないだろう」と書いている。つまり14億円×5+6億円×2=82億円ということになる。


ただし、この後「四半期売上の上限は50億円とかでしょう」と書いている。なぜ50億円になったのかは不明。50億円は80億円になるはずなのに。単なる計算間違いなのかは今となってはわかりません。それとも5倍と言っておきながら実際はその半分しか行かないと思っていたのかもしれない。


実際のところ、前四半期で売上は93億円。だから概ね当たっている。ただし白状すると、この2つの事業で稼げる売上はどんなに頑張っても1四半期80億円程度と思っていたので、四半期で100億円を超えて通期で400億円というところまでは届かないとは思っていた。そういう意味では予想ははずれ。


実際うちの息子まで「グリー」とか「無料」とか言うように、無料というのは昨今の社会では人びとの琴線に触れることばであり、音楽配信市場が前年割れと聞いたときには「あー、そういうこと」と感じたように、ケータイ端末の普及とは異なる面でこの不景気な時代にフィットしたサービスを提供している企業なのだろう。


そして一番予想が外れたのは、その成長スピードだ。僕はのんきに「5年で、うまくいけば3年で」なんて書いていたけれど、彼らはそれを1年半で達成してしまった。これを読み違えたのは、国内でもモバゲー、グリー、ミクシィというところが思った以上に激しい競争を展開し、Facebookが世界市場で異常に伸び、またtwitterなんてちょっと変わったSNSが出てきたからなのだろうか。かなりのキャッシュリッチな会社なわけだけど、まさかあんなに広告をするとは思わなかった。だってこのまま行くと年間で100億円近くになりますよ広告費。それで会員数が増えたのでしょう。テレビ広告をしてもネットサービスはユーザーが増えないという強烈な過去に引きづられたおっさんさ加減を露呈したと反省。


さて、これからはグリーコネクトによる外製アプリがどれだけ売上を上乗せするか、さらにそれらを担いで世界に出て行くのかという話になるのですが、もう予想屋はやめておきます。