ついにテレビ広告にもGoogleのツールが

限定的な広告主を相手に約1年のテスト期間を経て、Googleがテレビ広告販売サービス「Google TV Ads」というのをやり始めた。
Google、テレビ広告販売サービス「Google TV Ads」を開始


「ついに」という感じだ。


というのも私が99年に前職に移って最初に担当した仕事がまさに「テレビ広告枠販売のマーケットプレース」の事業性検証だったからだ。テレビ局や、外資の広告代理店や、広告主などヒアリングした思い出がある。仕事をする前からうすうす感じていたことだが、やはり結果は時期尚早。


ただし流れはそちらに向かうはずだから、視聴率測定会社(テレビに限りません)のようなメディアプランニングに必要なデータを持つ会社(考え始めるとかなりあります)の買収も視野に入れつつ、雑誌から始めよ、みたいなストーリーを書いたな。


先日偶然Webで転職しているのを見かけたこの方にもヒアリングに行きましたが、怖かったな。やっぱり電通という会社が存在する日本において、テレビCMから始めるのは無謀だと思いましたね。狙うメディアの順番についてはアメリカでも同様だったわけですが、アメリカではあれから9年たって形になってしまったという意味で感慨深い。


しかし日本で、このようなものが3年とかで普及するとは考えにくい。なぜならば、広告主側に使う人が不在だからだ。使いこなせる人が社内にたくさんいる会社というのは日本に10社ぐらいしかないのではないか。大手の広告代理店にはたくさんいると思いますが。ただし、電通とか博報堂は自社でこれに類する仕組みを持っているわけだから、日本では自分たちが主導して、Googleに先駆けてプラットフォームを作るというのはありだな。


ただどうなんだろう。すでにテレビコンテンツをケータイやPCで見る人がそれなりにいるし、IPの動画コンテンツをテレビモニターで見る人もいて、「テレビ広告」という放送をテレビ端末で見るという、これまでの枠組みでプランすることの意味が相対的に低くなっていきますよね。


だとすると、かなりの数のメディア(コンタクトポイント)をデータベースの対象とするプランニング&購入(販売)ツールが必要になるわけで、まずはツールができるかという問題があるし(グーグルのツールがどこまでの範囲を対象としているかはよく知らんが)、仮にできたとしても解釈や見識を元にツールを使いこなせる人がどれだけいるのかという問題は特に日本において残りますよね。AdSenseができて、とにかくネットだけで少ない予算で始めてみようという広告主とは違う人たちに利用価値がないといけないわけだから。


だから電通博報堂だけでなく、ドコモ、任天堂とかも入ってくるのかもしれないし、なーんにも実は変わらないのかもしれない。そしてもしやるとなったら、やはりGoogleと類する、開発能力の高い会社を入れないと行けませんね。電通博報堂が懇意にしているSIerの実力はどんなものなのでしょうか。ひょっとするとGとDが提携という線もあるかもしれません。もちろん、GについてDの経営層がどのような関係を日本市場において作ろうとしているか、なーんて話は私はまったく知らないわけですが。


つまり、僕はタダの観察者になってしまったわけですが、なつかしい思い出を書いてみたわけです。