Google Search Applianceセミナー

https://www.mki.co.jp/service/seminar1129/index.htmlに参加。Google Search Appliance(GSA)の販売代理店である三井情報開発の主催。


まずはイーフラッグコンサルティングの田中克政氏が「ドキュメントプール」というコンセプトを紹介。要はあまり細かく整理しない・分類しないという話。それを検索で見つけましょうという話。


GSAは2年ライセンスで50万ドキュメント(URL)までが620万円。1年間の1ドキュメント単価が6.2円となる。これが500万ドキュメントだと5200万円。同5.2円也。MKIはサポートも提供する。ちなみに国内最大ユーザーである三井住友海上のドキュメント数が「数十万」と言っていた。100万ドキュメントで2年間で1040万円。年間500万円。高いのか安いのかよくわからない。価格についてはhttp://www.plathome.co.jp/agency/google/purchase.htmlに詳しい。


やはり面白かったのは事例。三井住友海上の近田氏の話では、会社の課題は以下のとおり。

  • 会社が書類のアップロードに際し登録するカテゴリーを用意していたが、守られていない
  • 全文検索機能はあるが、自動車保険/火災保険といったカテゴリー横断検索ができず
  • 書類の重要度順に結果表示されず
  • ドキュメント要約の表示もされず


GSA導入でこれらの課題を解決できたそうだ。カスタマイズとしては、「リンク元一覧」というのを検索結果画面に文書ごとにつけた点がある。でもこれは同社が社内公式HPからリンクを張って文書(ページ)を紹介するということをそれまでやってきたからできたことで、それゆえ社内的に重要度が高い文書の表示順位もきっちり高くなったという。役員を説得するときに「全社の「お客様起点」という標語で役員に検索させて、社長の文書が1位に表示された」のだそうだ。どちらかというと新しいアイデアを生むための情報資産活用というよりも業務効率化、書類の流用という話だった。ちなみにそれまでの検索機能が1日あたりに使われる回数は1000〜2000回だったものが、2006年1月にGSA導入し、2006年9月で16000回に増えているという。顧客である営業社員にはきわめて好評だそうだ。ちなみに近田さんは営業推進部というような部署の人。情報システム部からは導入に対して反対もあったという。


今後の課題としては、タイトルタグの徹底というのを挙げていた。パワポの書類はプロパティで何も入力しないと、タイトル表示が「スライド1」になってしまうのだそうだ。これも結局人力に頼ると入力されないだろうということで、ロボットで対応するらしい。


続いてケンコーコムの丸敬弘氏の話。つまりこれはイントラネットではなく一般向けのサイトのサイト内検索の話。


扱い商品は7万点弱になっているが、DBへの直接検索を2万点弱の段階であきらめたそうだ。それまでは各商品に対応するであろうキーワードを1商品について10〜20個、人が考えて投入していたらしい。だがこの業務負荷が大きくなってきたことと(年間で2万点商品が増えるということは1週間で400点です)、検索へのレスポンスが3〜4秒かかるようになったことから、GSA導入に踏み切ったという。ちなみにそれは2004年のことで、まだGSAは日本に入ってきていなかったため、グーグル本社に行ってそれを購入し、サンノゼiDCを借りてそこにGSAをいれたのだそうだ。


面白かったのは検索結果の表示順位をケンコーコムも一切コントロールできないということ。たとえばある商品をプロモーションしたい、売りたいと販売店が思っても、それができないということだ。ここではグーグルのアルゴリズムが全てを決める。


URL数は現在で40万程度である彼らのサイト。効果のほどだが、過去2度ほどハングしたことがあるのだそうだが、そのときの売上の落ち込みは大きかったとのこと。私が物足りなかったのは、「LongTail理論を愚直に推進する企業」と言っておきながら、GSA導入でどれだけTail部分の売上比率があがったとかそういう話が聞けなかったこと。「半年とか1年というスパンをとった場合、7万商品のうち、売れる商品は7万なのか、6万5千なのか、6万なのか?」という質問もしたのだが、「売上ゼロの商品もけっこうある」という回答しかもらえなかった。他に教えてもらったのは「一番売れる商品でも全体売上の1%には行かない」という話。「一度もダウンロードされないiTMSの曲はない」という世界とは違うのねと思ったのだが、なるほどと思ったのは、「それでもテレビで取り上げられたりするとあるとき急に売れ始める。すべての商品がその可能性を持っている」というコメント。テレビで取り上げられなくてもBuzzも生まれやすい環境になってきたわけだし、販売開始のコストさえ吸収できれば棚落ちさせる意味はないということのようだ。情報財ではない商品の販売維持のコストがどれぐらいかかるかとかわからないし、売れ始めたときに機動的に商品を調達する労力がどれだけ必要なのかとか実際のところはわからないが、まあコンセプト的には納得させられる話ではあった。


さて、このGSAは「9月以降出荷が好調」だそうだ。10月末で約150企業に導入されているという。自分の会社がユーザーとなる場合で考えられる懸念は、主たる対象となるファイルサーバーの文書でもきっちり望むものがグーグルのリンクを大事にするアルゴリズムで検索結果上位に現れるのかということ。形態素解析だけで結構いけるのだろうか。SEOを社内文書でやる輩もいないだろうが、ここが想像の及ばないところだ。業態や目的によってGSAの活用余地は限定されるように思うが、イントラ内の文書検索もGoogleというようなことが起きていくのだろうか。ちなみに本日の事例紹介のプレゼンター2人はGoogle好きだな。おそらく。そういう推進者に対して三井海上の場合は「どうしてそんな海外企業のものを導入するんだ。サポートは大丈夫なのか?」なんて質問が役員から出たそうだが、大企業ではこういう抵抗勢力もいるようである。