声の力

東京経済大学で担当している授業は,それぞれ120名,140名程度の履修者がいる.出席してくるのは8割弱だが,それでも100名内外.マイクを通してしゃべっている.友人は「一体感がでるから,肉声でやったほうがよいと思うよ」とアドバイスしてくれたのだが,のどを鍛えているわけではない私には少々無理のある教室の広さなので,マイクを選んだ.

というわけで私には,「肉声」と「マイクを通しての声」の比較がずっと頭に残っていたのだが,学生にとっては「声」は「声」のようだ.

この授業はパワーポイントのスライドに出てくる文字が少々多すぎます.学生には先生の声の方がすっと入ってくるものです.スライドのテキストが多すぎて,メモをとっていると聞くほうがなおざりになりがちです.

という感想を,数人の学生からもらった.内容面での感想とは別に教え方についての感想ですね.

こっちも慣れないから,言いたいポイントを文字についついしてしまうのだよね.まあ,全部をメモする必要もないわけで,大事なところだけメモしなさいともいえるのだが,それを専門的なことを学び始めた大学2年生に言っちゃーおしまいよ,とも言える.

たしかに感想文の提出を求めたら,学生は私が強調した点や雑談的に話したことをかなり忠実に書いてくるのだよね.これはいつも顧客に色々言われることの多い仕事をしている身には新鮮だった.なんだか教員の受け売りばかりでよろしくないなとも思うわけだが,やはり声なんだよね,授業というのは.