NRIのプレスリリースについて

2005-06-01に書いたNRIのリリースについてsurveyMLで議論が起こった。

約2兆円のテレビ広告費はビデオリサーチの「視聴率」を基にした対価である。視聴率というのはリアルタイムで見ていた世帯の割合だから、そもそも録画されていた分は2兆円には含まれない。だから540億円分の価値が損なわれたというのはおかしい。という主張。

これは正論であると思う。

ただ、問題は2.6%とかいう数字を広告費に掛け合わせたところであって、平均CMスキップ率(64.3%)と平均録画消費率(HDDに録画した番組を消費する割合:34.2%)、HDR普及率を掛け合わせると2.6%でしたというところまでは正しいと言えよう。

で、逆にMLでも指摘されているように、HDRに録画したことで視聴が増えて、そのうち35.7%はCMを飛ばさずに見ているわけだから、HDRの登場で今まで以上にテレビCMは見られており××億円の価値の上乗せがあったという可能性もある。

やっぱ数字って一人歩きするし、それゆえ反応をする人は正当あるいは過剰に反応しますね。私もこういう市場規模算出の仕事をしたことあるが、リリースを出すとロジックに対する説明とかが大変であった。

多くの人に到達する方法としてテレビ広告が相対的に優位であることは変わらないだろう。だからNRIが出している「従来の手法に代わる今後の具体的な広告・宣伝策」ってのはちょっとおかしくて、従来の方法を補完するとかになるんでないの、本来。ちなみに他に競合する媒体がなく、需要(いつでも知名度を上げたい商品と企業は存在する)と供給で決まるテレビ媒体単価もそんなに下がらないだろう。

私は当事者ではなく、観察者でしかないから、本件はこれにて自分の中では終わり。