DesktopからWebtopへ はてなダイアリーを1年ほど使って

Webtopということばをはじめて聞いたのは,95年にSun Microsystemsの組織研究をしているときだったと思う.Sunだけに,単純なDesktopの延長ではなく,そこにはWeb上の社会資本というような思想が含まれていたと思う.似たような時期に松岡正剛がパソコンの画面におけるDesktop Metaphorは面白くないし,変わるべきだということを言っていた.彼は机という限定された仕事のスペースではなくバーチャルリアリティのような3Dの生活空間のメタファーを想定していたようだ.でもとりあえず,ユーザーインターフェースとしてはDesktopとほとんど変わらないWebtopという感じに世の中はなってきたのではないか.

というのも,この(習慣を変えるのが苦手な)私がWeb空間にデータをアップして,それを再利用するというようなことに少しずつ慣れてきたからである.現在,私はかなりアウトプット作成モードになっているのだが,これを作るに当たっては,けっこうはてなに書き散らかした断片をつなぎ合わせることをやっている.具体的にはダイアリーの管理画面で,過去のダイアリーのタイトルをみながら,このタイトルの時にこの内容のことを書いたに違いないと類推したり,あるいは検索機能を使って探したりということをやった.一覧性と検索性が素晴らしいということだ(ただし学術論文を書くには,はてなに書きちらかしたレベルではダメである.雑誌への寄稿とか今私が書いている企画書に準じるようなものだとちょうどよい).

自分はこれまで6年近く,一人egrpupsというのをやってきて,これがITを活用したアイデアの管理方法だった.egroupsというのは今はyahoo!groupsとなっているサービスだが,要は無料でMLが作れるサービスだ.ここに1人MLを作って,読書ノートやアイデアメモなどをどんどんそこに投稿するようにした.これは全てメーラーの一つのフォルダで一元管理できるからそうしたので,ここにWebtopという発想はない.単純にクライアント側での一元管理がしたかったからということだ.egroupsのWeb画面を見に行くことは皆無だった.

生来の怠け者である私は読書ノートというのも「お勉強」ではなく,アウトプットを作成する上で読んでいることが圧倒的に多いので,そのノートの脇には現在抱えているアウトプットを作る上でというかなり限定されたコンテキストでの感想やアイデアが書き込まれている.で,それをさすがに公開するほと私もナイーブではないので,Web上の私の1人egroupsには他の参加者は閲覧さえも許可していない.

ところが,今回のはてなを使ってみるとWeb側での検索が速い.それにユーザーインターフェースが圧倒的にメーラーに比べて良い.今後も機能が充実してきそうだ.はてなブックマークとの連携とかにも妙味がありそう.というような理由でかなり「使える」感を感じた.あとは,非常に重要なことだが,私の頭の中が,自分のPCよりもWebにあげておいた方がデータが消える確率が低いという風になってきたことがある.

というわけで,今まで一人egroupsでやっていたことを,社会資本として共有するというのではなく,単純に機能的な充実という観点のみからWebに移したいと思い始めている.はてなは同じ人が2つのダイアリーは持てないので,どっかのblogを持って非公開モードにするのが現実的なのだろうか.逆に知的生産の道具としての「一人はてな」がこのblogとは別に持てれば年額1000円とか2000円とかは払っても良いという感じになってきた.