唐招提寺展と踊るサテュロス

美しいものが見たくなったので、上野まで行って来た。

唐招提寺というのは小学校で写真を見て以来お気に入りの寺である。特徴的な鴟尾(しび:とびのお)と美しい曲線の屋根が気に入ったのだ。2年ほど前に奈良に行ったときに、寄ってみたのだが、まさに平成の大改修で金堂も御影堂も見られなかった。

廬舎那仏よりも鑑真和上像の方が印象的。あんなに柔和な顔とは知らなかった。しかし彼は、なぜ6度にもわたって日本に来ることを敢行したのだろうか。仏僧の教育目的だけとは思えない。

さらに今回の収穫は御影堂の東山魁夷の障壁画。特に「濤声」という作品は青とも緑とも言えない色遣いがすばらしい。

もう一つはサテュロス。これは葡萄酒と享楽の神バッカスの従者であり、森の精である。尻尾に特徴があるのだか、このサテュロスにはそれが残っていない。それでもシチリア沖で98年に引き上げられたこの銅像は立派。そして、活力あふれる。

高貴な鑑真も良いが、酔っぱらって自然体のサテュロスの方が親しみをおぼえる。

またこちらも予想外の収穫は国立博物館表慶館。西洋風の建築で美しい。ドームとその床に敷き詰められたモザイクはサキュロスを飾るのにふさわしい場所であった。このサテュロスはこれから愛知万博に行く。

その後、根津在住の敬愛するT先輩と待ち合わせし、東京芸大の食堂で昼飯。「生きる意味についてあまり考えず、忙しさに身をゆだねた人々」についてちょっと話す。

午後は丸善本店に行ったのだが、改修中のため仮店舗での営業。駅員に聞いて、OAZOの丸の内本店に行く。丸善ならではの品揃えは新鮮で、2時間近く滞在し、3冊本を購入。4月までに読まねばならぬ本が増える。