言っていることと、やっていること

年賀状を僕の敬愛するY田さんに書いていて、彼のことばを思い出した。彼はもう60近い人だが、僕と会うと必ず「おい、最近、言っていることと、やっていることがブレてないだろうな」と言う。非常に怖い言葉だ。

10年前にリサーチ対象企業で取締役をやっていた彼と知り合い、今でもつき合いが続いている。その後の彼の経歴は社会的に見るとけっして冴えているとは言えないが、僕は彼の生き様は美しいと感じている。

このことばは本当に含蓄がある。

別に言っていることが主流、というか世の不条理みたいな話なら、そんなにやっていることは言っていることとブレない。が、新しいことを言うとすると、やっていることがブレがちだ。

言っていることと、やっていることがブレている人にも2種類いる。確信犯と無自覚犯。前者とは意見の相違ということだから、議論ができる。が、後者は「無知」と言ってもよく、無意識のうちに自分の育った環境や価値観などにしたがって、言っている新しいことを曲解しているので(つまり言っていることも人からの借り物であるということだ)、都合が悪い。こちらは価値観の相違なので、議論にはならない。

というわけで、年末年始は、じっくり小説でも読もう。