笑の大学

三谷幸喜の「笑の大学」映画版を見る。何も知らなかった私は、笑うためにほぼ1年ぶりに劇場に足を運んだのだが、期せずして泣いてしまった。検閲官向坂(役所広司)と喜劇作家椿(稲垣吾郎)の関係が、今の指導教官と私の関係にちょっと似ていて感情移入してしまったというのが、涙の直接的原因だと思うが、古くて新しい、そしてITによってそれを乗り越えられるかもという問題がそこでは取り上げられていた。それも涙の原因のように思う。

  • コミュニケーションプロセスと信頼
  • 不自由な表現形態と創造力
  • 個人的信頼関係に対する組織による制約
  • 属人的知識と汎用的知識

といったものだ。

検閲官と喜劇作家という2人の登場人物によって描かれた喜劇の世界は、まさに三谷が体感してきた世界だけに迫力をもって描写されていた。

「笑いの要素のまったくない喜劇を書け」という椿に課された最後のそして最大の難題、つまり喜劇にとっての最大の悲劇は何か?という問いに、三谷がつけたオチはどのようなものだったかについては書かないことにしておこう。