求道者イチローとマルチ人間長谷川

この3週間ほど、イチローの記録達成を心待ちにしていた。単純なミーハーで騒いでいた部分もあったが、私の関心は、最下位のチームにありながら、なぜあれだけのモディベーションを保てるか、そしてなぜあれだけの重圧を背負い続けられるのか、ということだった。

「『楽しんでやれ』というアメリカ人の感覚は自分には理解できない。プレッシャーを背負いながらやるしかないと自分は思っている。プレッシャーを感じ続けられるのが、勝負の世界にいる者の醍醐味。そしてそのワクワク、ドキドキする感じが最高である」というのが彼の回答だったように思うが、真偽は別として、なるほどという感じだ。でも、年上の奥さんと愛犬と暮らすイチローだからこそ言える特権的な言葉のようにも感じる。

私はイチローのような求道者はかなり好きだ。でも私はマリナーズの「家族デー」にプレゼンターとなるような子持ちの長谷川により好感を持つ。彼は引退後に備えてビジネスの勉強をするほどの勉強家。あれだけ流暢な英語だって努力なしには到達しないだろう。つまり野球・勉強・家族との時間というのを常にバランスにかけて、生活している(雑誌『VS』による)。野球は30代までに関わるもの、という考え方で、野球が好きで好きでたまらないというタイプではない。

引退後の彼に注目しているのだ。