10年代のWeb
拙論文が掲載された『コミュニケーション科学 32号』がWebで公開されました。
論文は「パーマリンク(Permalink):00 年代Web における情報アクセス構造と情報収益化モデルを決定づけた技術」(PDF:1.86Mb)というタイトルにあるように、00年代のWebを振り返る作業が中心になっています。
「情報へのアクセスの多様化」、「情報へのアクセスの深層化」、「情報間のリンク容易化」という情報アクセス構造の変化、そして「Pull型広告の誕生」「情報の編集価値の経済価値化」という情報収益化モデルの変化の端緒にあるのがパーマリンクだという分析です。ちなみにパーマリンクは2000年にPyraのブログアプリケーション(後にBloggerとしてGoogleに買収される)において実装された要素技術です。
実は実務家の方に読んで欲しいのは「10年代のWeb」と題された第4章です。00年代のWebを象徴するページはGoogleの検索結果画面であり、それは「関心が支配的なUI」。これに対して10年代のWebを象徴するページはtwitterのTimeLine画面(のようなもの)であり、それは「時間が支配的なUI」という論を展開しています。情報量の多さに対して関心中心でそれを縮減しようとしてきたのが00年代。時間中心でそれを縮減するようになる(かもしれない)のが10年代という意味です。だとすると、00年代のWebはパーマリンクのみでけっこう語れたけど、10年代のWebではパーマリンクは形骸化するかもという話でもあります。
最後には、「関心が支配的なUI」においては検索連動広告のような理性的、プアーなテキスト、Interestingな表現が適合するが、「時間が支配的なUI」においてはもっと情動的、リッチな画像や動画、Funな表現が適合的であろう。そしてユーザーが画面を見ている時間帯の判別、加えてその瞬間の気分に動的に適合する、広告なり、コミュニケーションなりを模索していかないといけないのでは、ということを書いています(伝えようとしています)。まあ、妄想と言えば妄想なのですがね。